カプセルペーパーで作成する「指で見る月食」の図




1. 2015年4月4日の月食とは…


 国立天文台のホームページによると、月食とは次のように説明されている。

 「地球と月は太陽の光を反射して輝く天体です。地球(月)にも太陽の光による影があり、太陽とは反対の方向に伸びています。この地球の影の中を月が通過することによって、月が暗くなったり、欠けたように見えたりする現象が「月食」です。月食は、太陽-地球-月が一直線に並ぶとき、つまり、満月のときだけに起こります。ただし、星空の中での太陽の通り道(黄道)に対して月の通り道(白道)が傾いているため、ふだんの満月は、地球の影の北側や南側にそれたところを通ります。そのため、満月のたびに月食が起こるというわけではありません。」

 4月4日、ここ仙台でもお天気に恵まれ、まずまずの写真が撮れたみたいだ。部分食の始めが19時15分頃、皆既食の始めが20時54分頃(食の最大は21時頃)、皆既食の終わりが21時6分頃、そして部分食の終わりが22時45分頃だったようだ。

●参考サイト:皆既月食 2015年4月4日/国立天文台(NAOJ)
 http://www.nao.ac.jp/astro/sky/2015/lunar-eclipse.html

2. 「指で見る月食図」の作り方

 

(1)撮影したデジカメの写真から、月食の全過程を9段階で理解できるように、9枚の写真を選定する。

 なぜ9枚なのか?カプセルペーパーはA4が最小サイズなので、指で触って楽しめる一つの月の大きさを考慮すると、A4に対しては9個が限度となる(B4やA3サイズのカプセルペーパーもあるので、必要ならこれら大きめのサイズに段階数を増やして表現することも可能である)。

写真1
今回選定した月食の過程9段階の写真




(2)月の形だけを切り出し、モノクロかつ白黒反転の月に画像処理し時間経過順に並べる

 選定した写真から月の部分だけを切り取り、その月の光っている部分が黒色となるように全体をモノクロかつ白黒反転の画像にする。次に、先の国立天文台のサイトなどを参考に時間経過とともに東南東から南東の空へと高度を上げていく月の移動カーブに沿ってA4用紙サイズ内に9個の白黒反転した月を並べる。

写真2
白黒反転した9個の月を、時間経過とともに右上がりに並べてみた図




(3)立体コピーの図の完成

 カプセルペーパーは特殊な用紙であり、黒く印刷された部分が熱を加えることで1ミリ弱膨らむように作られたものである。よって、光のあたっている部分を膨らませて月の形を指で見るためには、光っている月の形を黒い月として表現しなければならないのである。では、皆既月蝕の段階の図はどうするのか? 原則、光っている部分はない(ただし、実際は薄く赤銅色に光る部分が見えるようだが)。よって、指で触れる部分もないということとなる。そこで、皆既月蝕の段階である5番目の月は満月の位置がわかるように、「ここにあるはず」という意味で、その輪郭を細線で表現した。

 この図をカプセルペーパーにコピーし、そのカプセルペーパーをピアフ(PIAF)という熱を均等に加える装置に通すと、黒色で表現した部分がすべて1ミリ弱盛り上がり、指で形を読み取ることができる。点字も黒い点で書いておけば、盛り上がるので点字として読めることとなる。

写真3
5番目の月は影にすっぽり隠れた月のため、形がわからない。そのため、輪郭に細い線を擬似的に描いておく。



写真4
これが最終段階の原図となる。墨点字(黒い点で書いた点字)で9個の月にそれぞれの時刻を書き入れて完成。




写真5
これが熱を加える装置「ピアフ(PIAF)」。原図がコピーされたカプセルペーパーが出てきたところ。黒い月が膨らんでいる。



写真6
カプセルペーパーを使って、膨らんだ月食の様子を指で見ているところ。



●「指で見る月食図(2015年4月4日in仙台)」の原図PDFのdownload

3. 図があるとないとでは大違い

 

 あなたが、もし、見えない子どもたちに「昨夜の仙台の月食の様子」を言葉で伝えるとしたらどんな語彙を駆使して語るだろう。3時間にわたって繰り広げられたこの天体ショーを見えない子どもの頭にイメージしてもらうために、言葉だけを用いて伝えることは至難の業であろう。

 しかし、触れる図があると話は一変する。一触瞭然、色彩については言葉に頼らざるを得ないが、欠けていく様子は指で見ることができるのだ。

 ここで紹介した「カプセルペーパーなんてないよ」、と嘆かれた人がおられるとしたら、こんな図を作成してはどうだろう。

 国立天文台のサイトから月が欠けていく様子の図を印刷し、その図内に厚紙を切り取った月を並べて貼ってもよい。また、図内の地平線や方角を示すために記されている線に幅の狭い粘着テープを線に沿って貼るだけで触れる図に早変わりする。位置を示すには凸点シールがある。これら、触る図に役立つテープ類やシール類を百均ショップや文具店などで探してみるのもまた楽しいものである。



写真7
カプセルペーパーがないので、テープや盛り上がりのあるシールで月食図を作成してみる。




●参考サイト:立体コピー作成機 ピアフ(PIAF)
 http://www.amedia.co.jp/product/kgs/piaf.html

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